December/January 2018/19 No.205
新刊・新着洋書案内
□ 1843年創立のマクミラン出版社は、トマス・ハーディの出版な
どで知られたかつてのイギリスを代表する出版社。戦後は東京
にオフィスを構えるのが海外出版社のビジネスモデルでしたが、
同社もYoshiという愛称でしられた田所氏を代表にして、盛業
でした。
□ 英米の市場格差を埋めるべく、Palgrave Macmillan としてアメ
リカ進出、現在はSpringer社のインプリントになっています。
□ 典型的な民間資本のグローバル化です。本の価格はピンと上が
りました。経営母体のあるオックスフォードなどの大学プレス
と違って、独立資本の民間出版では当然です。しかし、
□ 民間の大学プレスというあだ名のあるNorton 社は、有名なアン
ソロジーのドル箱があるせいか、本の価格を抑えることに成功
しているようです。他にも地道な出版をつづけている出版社が
あります。グローバル化の波にのまれて、民間出版社がブリュ
ーゲルの描いた絵にならなければいいがと、危惧します。
□ on-lineや e-bookの時代、ブリタニカなどの大冊の百科事典の
場所は図書館になくなりました。それを逆手にとって、小項目
を200頁前後の本にしたOxford のVery Short Introductions
は、いわば21世紀の百科事典で、既刊は600冊、大成功と聞い
ています。Oxfordの企画力でしょう。
□ 大学図書館の開架といえば、かつてはEveryman’s Library が定
番でしたが、いまはOxford World’s Classics です。テキスト
校訂、注釈、改訳など、編集スタッフの真摯がささえています。
□ 悲しい訃報が入りました。
湘南の地から、いつも丹念なペン書きの御注文書を下さった
池上忠弘先生、チョーサーの翻訳に打ち込んでおられるとおき
きしていましたが、さぞかしお心残りだったろうと残念です。
笹山隆先生には、ブラウザー初号にシェイクスピア研究文献の
見取図を整理していただきました。まだ、Greenblatt Who でし
たが、いち早くお取り上げになり、その後、個人的なお付き合
いもあったと聞いています。厳しいだけでなく、包容力がおあ
りでした。
ご冥福をお祈りいたします。
□ The Collected Letters of W. B. Yeats
□ 書評・思索的リアリズムとロマン主義. (土屋繁子)
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