英語史研究会会報 第3号

Chaucer’s Language: Cognitive Perspectives

Edited by Yoshiyuki Nakao and Yoko Iyeiri

 

(シリーズ『英語史研究会会報』、2013-B, 英語史研究会会報 第3/

Studies in the History of the English Language, 2013-B)

大阪洋書, 20134, ISBN: 9784990458430, ソフトカバー, c. 151 p., A5, 本体2,106

 

チョーサーの言語は、関心の範囲の点でも方法論の点でも、さまざまな言語学的アプローチを受け入れてきました。たとえば、音韻論と形態論、韻律論、統語論、語彙や語りの構造の分析、談話分析、語用論、文体論、社会言語学などです。認知言語学的アプローチは、最近見出された言語学的アプローチのうちでも、おそらく最も新しいものであり、本書ではこのアプローチによって、チョーサーの言語を再び検討しようとしています。認知言語学の分野で中心となる論点には、たとえば、ラネカーのスキーマ・プロトタイプ・拡張という三叉システム、レイコフとジョンソンの概念メタファー、フォコニエのメンタル・スペースなどがあります。チョーサーの言語は、さまざまな点で語り手のかかわり方に敏感であり影響を受けやすいため、上記のような認知言語学的なアプローチに開かれた言語であることに驚くことはありません。これらのアプローチによる言葉で、チョーサーの言語をあらためて見直すならば、今までその言語について、気づかれていなかった意味が明らかになるでしょう。

 

チョーサーの言語に対する認知言語学的アプローチは、柔軟性に富み、広く開かれているので、一つの特定の関心領域を越えて行くよう私たちをいざないます。本書は、認知言語学による多様な視点からチョーサーの言語を再構成しようという試みです。掲載されている6つの論文は、関心の範囲が、語彙から、統語論から、語りの領域まで広がっていますが、いずれも、部分的にしろ全体的にしろ、認知論的スタンスを共有するものです。

 

以上のように、本書に収録された諸論文は、新しい認知言語学の視点から、チョーサーの中英語の懐の深さを伝えてくれています。英語史、英語学、歴史言語学、中世英文学にご興味ある方々にお勧め致します。

 

目次 

Introduction                          ・・・・Yoshiyuki Nakao

Cognitive Aspects of Negation in The Tale of Melibee,

The Parson’s Tale, and A Treatise on the Astrolabe      ・・・・Yoko Iyeiri

Chaucer’s Imaginative and Metaphorical Description of Nature       ・・・・Akiyuki Jimura

Progressive Diminution in ‘Sir Thopas’               ・・・・Yoshiyuki Nakao

Variation in the Use of Think in The Summoner’s Tale, Line 2204       ・・・・Hideshi Ohno

Namely and Other Particularisers in Chaucer’s English           ・・・・Ayumi Miura

A Model of the Ideal and Natural in Social Groups in Mum and the

Sothsegger: A Metaphorical Analysis                ・・・・Yoshiko Asaka